ADF(NPO青山デザインフォーラム)とインテリアデザイン会社のGARDEは、ポルトガルビジネス協会およびポルトガル商工会議所よりポルトガル・プレミアム・エクスペリエンス・イベントへのご招待を受け、国内第二の都市と言われるポルトにて行われた、ビジネスカンファレンスや工場視察のセッションに参加いたしました。
この取組みは、ポルトガル企業の96%を占めると言われている中小企業や国内全体の産業振興のため、アジア各国と連携する事を目的とし、主に日本、韓国、中国の企業やメディアを招いた最初の試みとなります。
イベント最後に思い出に残る談話が出来ました
伝統的な美しさを残す絵画のような街並みは、モダンアートが所々で融合して人々の芸術への造詣の深さを感じます。今回は、ビジネスカンファレンスや工場視察のセッションとして、ポルトにある4つの企業を訪れました。
ACL:コンクリート加工素材の企画生産会社
ACLは都市インフラ整備に使われる大型のコンクリート管や住居、オフィスなどの各種外装材からインテリア装飾用の素材まで幅広く企画生産を行う企業。総務責任者のペレイラ氏の案内で同社の製品や製造過程を視察しました。近年、開発に成功したシート状のコンクリート製の素材は内装、外装問わず使用が可能。コンクリートで木材や金属の質感を再現した各種建築用パネルは耐水性や耐摩耗性も強く、更に環境負荷低減に対しても最善の企業努力を行っています。
本社正面玄関
工場敷地全景。 ひとつの街を彷彿とさせる空間
ショールームは壁や床のパネル展示でぎっしり
100%天然素材のコンクリートシート
ARCH VALADARES:サニタリー(浴槽や便器など)製造卸会社
創業100周年となる今年、アジア圏へのビジネス拡大を計画しているARCH VALADARESでは、輸出責任者デイビット氏の説明を受けました。同規格製品の大量生産のみならず、1点物の特別注文にも広く対応しており、その生産工程は伝統工芸品の制作のような手作業による過程を経て進められています。
本社全景
長すぎて先が見えない窯
工場内には様々なデザインの陶磁器製品が並べられています
Aleluia Ceramicas:内外装用タイル製作会社
創業より170年間、セラミックタイルの生産を続けているAleluia Ceramicasは、一点物から受注可能で壁、床などの素材のみならず、セラミックタイルによる壁画など内外装用の装飾製品を生産しています。絵柄や質感はモダンなものから中世より伝わる絵柄まで幅広く対応が可能。同社ディレクターのルイシュ氏から製品ラインナップから生産の現場までご紹介いただきました。
本社全景
様々な種類のサンプルがあるショールーム
特注品の工房で丁寧に絵付けされる
Dom Villas社:農業・チーズ等、食品製造業
ポルトの緑豊かな田舎にあるDOM VILLAS工場は、2人の兄弟が家業である農業を継ぐために作った22年の歴史を持つ会社です。主に山羊のチーズ、牛のチーズ、羊のチーズを専門に製造し、親会社が保持するブランド、DOM VILLAS、CASA MENDEVILMAN、LOUROFOODSのうちの1つを担っています。オーガニック、乳糖フリー、低脂肪のチーズも提供しており、現在はハーブやスパイスを使った実験的な商品にも挑戦中。また、LOUROFOODSのブランドではヴィーガンチーズも製造しています。ミルクはポルト産、ハーブはポルトガルの他の地域から輸入しているとのことです。ポルトガルのチーズが他の国のチーズと異なる点は、未来のポルトガルの子供たちが祖先と同じ味を楽しめるようにすることを目的として、何世紀にもわたる伝統的なチーズ生産方法を守り続けてきたこと。日本市場には未参入ですが、最近マカオに進出し、アジア地域での展開拡大を計画しています。2023年日本で開催されるFOODEXにも参加予定となっています。
衛生管理徹底のため防護服を着用
工場内。 さまざまな種類のチーズを互いに離して、香りが移らないように防ぐ
3週間熟成したチーズ
3ヶ月熟成したチーズ
オーガニック、ラクトースフリー、スパイス、ハーブ製品など、さまざまなDOM VILLAS製品の追加テイスティング
テイスティング: プレーン、オレガノ、パプリカ、ペッパー風味の4個セット
Conservas社:缶詰(魚貝類)製造卸業
Conservas社は1912年創業で、イワシ、マグロ、サバなどの魚の缶詰の製造卸業を営んでいます。長い伝統を持つ家族経営の会社で、多様なテイストやデザインの製品を生み出しています。今回は漁港にほど近いポルトガルはマトシンホスの店舗と工場を訪問。
アジア展開に向けて、新たにテリヤキ味や味噌味もラインナップに加わった
工場に付設されている店舗では様々な製品がディスプレイされており、レトロなイメージのパッケージは、基本デザインを100年以上変えていない歴史あるデザインとなっています。